●「毎日新聞」 1997年8月
グリコ森永事件の“キツネ目の男”と間違えられた人だけあって、その目は細いが鋭い。世の中をダメにしているものに怒りの照準がちゃんと合っている。とくに犯罪に関する批評は的を射て痛快だ。
犯罪には「良い犯罪」「悪い犯罪」「病気の犯罪」の三つがある。今問題になっている「病気の犯罪」は、善良なる市民の中にこそ発生の要素があるという。通り魔やストーカーのような病的な犯罪は「経済効果を考えない素人の犯罪であり、だからこそ怖い。
そうした犯罪が増加する背景には、自分たちにとって不快なもの、目障りなもの、醜いものなどをすぐに排除しようとする「清潔なファシズム」があると著者は指摘する。
「無菌状態にしたいという考え方は危ない。ヤクザがほんとうにいない社会は滅びます」
東大生、サラリーマン、主婦らを相手に世の中の息苦しさを突破していくための知恵(悪知恵?)と覚悟を説いていく。バトルトークといいつつ、人生相談みたいなノリになっているが、そこがまたいいところでもある。