バトルトーク突破者

宮崎学/著 四六判並製 定価(本体1300円+税)

 

●「毎日新聞」 1997年8月

 グリコ森永事件の“キツネ目の男”と間違えられた人だけあって、その目は細いが鋭い。世の中をダメにしているものに怒りの照準がちゃんと合っている。とくに犯罪に関する批評は的を射て痛快だ。

 犯罪には「良い犯罪」「悪い犯罪」「病気の犯罪」の三つがある。今問題になっている「病気の犯罪」は、善良なる市民の中にこそ発生の要素があるという。通り魔やストーカーのような病的な犯罪は「経済効果を考えない素人の犯罪であり、だからこそ怖い。

 そうした犯罪が増加する背景には、自分たちにとって不快なもの、目障りなもの、醜いものなどをすぐに排除しようとする「清潔なファシズム」があると著者は指摘する。

「無菌状態にしたいという考え方は危ない。ヤクザがほんとうにいない社会は滅びます」

 東大生、サラリーマン、主婦らを相手に世の中の息苦しさを突破していくための知恵(悪知恵?)と覚悟を説いていく。バトルトークといいつつ、人生相談みたいなノリになっているが、そこがまたいいところでもある。