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一九七〇年代の東大・セツルの体験から
「一九七三年~七七年という時期、私は東大の学生でありつつ、東京の下町でセツルメント(略称はセツル)の実践、青年運動、教育文化運動を通して地域を変え、社会をより良くしようと努力しながらアイデンティティを形成した。それは未熟で失敗の連続であり、とても直視できなかった。特に、失敗が「魅せられたる魂」(ロマン・ロラン)のようになり熱心に取り組んだ結果であるから、なおさら自分の内奥がさらけ出されるために、正対することを避けてきた。
しかし、発達に伴い「人間的強さ human strength」が形成され、四〇代半ばを過ぎると次第に向き合えるようになった。これは、一挙に変わったのではなく、漸進的であった。
……そして、現在、ここで本格的に取り組み、時代の一角において、時代に影響されながら、時代と格闘した自己形成の事例としてまとめることにした」(本文より)