日本人・カナダ人の親に聞く、きょうだいがきょうだいに「なる」ために、大切なこととは?
日本流「一緒」「同じ」「譲る」「我慢する」
カナダ流「ヒアHere」「ゼアThere」「ホームHome」「ボンドBond」……
きょうだい関係をめぐるキーワードで考える。
〈きょうだいは、きょうだいとして生まれるのではなく、きょうだいに「なる」はずだという仮説から出発しました。きょうだいになるためには、「きょうだいとして育てられる」という経験が必要です。そして、ここで大きな役割を果たしているのが親です――〉(本文より)
はじめに
第1章 「きょうだいを育てる」ということ
第1節 カナダでホームステイ――3人の子どもとネコ
第2節 ブシェルさん一家の日常
第3節 「インターディシプリナリー(学際的)って?」
第4節 アンソロポロジー(人類学)に恋して
第5節 文化心理学と出会う
第6節 ふたつの意図的世界
第7節 グラウンデッド・セオリー・アプローチに挑む
第8節 ペアレンティング(親業)の世界へようこそ
第2章 親によるきょうだいの社会化――日本の場合
第1節 「一緒」
①「一緒」の意味――きょうだいは1つ
a 身体的な近さ
b 情緒的な近さ
②「一緒」を社会化する
a 寄り添うことを習慣にする
b 悲しいときに傍にいる
c 外で守りあう
d 親だって弱いと教える
第2節 「同じ」
①「同じ」の意味――きょうだいは似て非なる存在
②「同じ」を社会化する
a きょうだいげんかは自己表現のうち
b 自分とは家族のなかの一部分
c しかるときは同じルールで
第3節 「譲る」
①「譲る」の意味――権利の主張はほどほどに
②「譲る」を社会化する
a 譲って「同じ」に
b 譲って「一緒」に
第4節 「我慢する」
①「我慢」の意味――欲望を自制する
②「我慢」を社会化する
a わがままは「一緒」の敵
b きょうだいのわがままには寛容に
c 我慢とわがままの関係を知る
d 我慢をさせすぎないこと
第3章 親によるきょうだいの社会化――カナダの場合
第1節 私が出会った「カナダ人」のこと
第2節 カナダの親によるきょうだいの社会化
第3節 「ヒア」と「ゼア」:ここ(Here)とむこう(There)
①「ヒア」と「ゼア」――巣立ちの予感と子離れの覚悟
②「ヒア」と「ゼア」をカーリング競技の比喩から考える
③「ヒア」と「ゼア」を社会化する
a ヒア:親の力が及ぶ時空間
b ゼア:親の力が及ばない時空間
第4節 「ホーム(Home)」:安全で居心地のよい生活空間
①「ホーム」の意味――きょうだい関係の基礎となる理想的な空間
②「ホーム」を社会化する
a 快適さと安全を確保すること
b 共感はほどほどに
c 大切なのは公平であること
第5節 「ボンド(Bond)」:血縁
①「ボンド」の意味――関係を長く維持するつながり
②「ボンド」を社会化する
a 親戚関係というボンド
b 共通項というボンド
第6節 「テイキング・リスポンシビリティ(Taking responsibility)」:責任を引き受ける
①「テイキング・リスポンシビリティ」の意味――弟妹の面倒をみること
②「テイキング・リスポンシビリティ」を社会化する―兄らしく・姉らしく
第7節 「ディーリング・ウィズ・プロブレムズ(やっかいな問題を解決する)」
①「ディーリング・ウィズ・プロブレムズ」の意味――対人スキルの習得
②「ディーリング・ウィズ・プロブレムズ」を社会化する―親がお手本を見せる
a 否定的な感情をコントロールする
b ややこしい状況を切り抜ける
第4章 日本とカナダの「きょうだいの育て方」を比較する
第1節 安全で快適な環境づくり――「一緒」と「ホーム」
第2節 公平で平等な社会を目指して――「同じ」と「ホーム」
第3節 なぜ血縁関係は大切なのか――「一緒/同じ」と「ボンド」
第4節 ところ変われば品かわる~紛争解決スキルのいろいろ――「譲る/我慢する」と「ディーリング・ウィズ・プロブレムズ/ヒア」
第5節 年下の面倒をみるちから――「一緒/我慢する」と「ホーム/テイキング・リスポンシビリティ/ディーリング・ウィズ・プロブレムズ」
おわりに
あとがき
参考文献
索引