〔底冷えのする夜、放課後の部活を終えて生徒と話しながら帰る時、生徒が何気なく口にする自分の生い立ち。また、誰もいなくなった職員室の片隅で、問わず語りに生徒が語る家族のこと。その時の「小さな感動」を文字に変えた。生徒たちからほとばしり出る肉声、揺れ動く姿を――。書かないではいられなかった。〕(「あとがき」より)
「定時制の生徒たちは、重いものを背負いながらも、前向きに生きています。その姿に、私たち教師は励まされてきました。本日の企画は、その生徒たちへのささやかなお返しでもあります」
「学校には放課後がある。夜間定時制高校にも、短いが放課後があり、クラブ活動もある。Kは、私が顧問をしていたバスケット部の生徒だった。授業で教えたこともない、クラブだけの付き合いのK。私の教員生活最後の年のことである――。」(本文より)
序に代えて――三二年前にタイムスリップ
第一部 心に春の光よ届け
①退職の日に研修なんて!
②私はCランクですか?
③九時過ぎスタートの忘年会
④大震災より処分優先
⑤久々、チョークを持ってみたら
⑥三〇年ぶりの再会
⑦同時代を生きる
⑧春の光よ届け
⑨消えないきずな
⑩地元の酒房のマスターは……
⑪三人分の署名
⑫シールズとの対話
⑬夜間定時制の奇跡
⑭ミカと過ごした一〇九五日
⑮もう一度、ミカのこと
⑯定時制に乾杯! 嵐の中の「納涼のゆうべ」
⑰オヤジもつらいよ――卒業生との「交換書簡」から
⑱これが私――自分探しの長い旅
⑲もう一つ食べていいよ――教員生活最後の出会い、そして別れ
⑳友情とふるさとと――自分史風に
第二部 現在を生きる教え子たち
①自分に「お疲れさん!」――一生に一度の証人尋問
②電話で教育相談
③現在を生きる教え子たち
④乾杯! 卒業直前の結婚式
⑤自分を隠さずに生きる――統廃合反対運動の中で
⑥その写真、もらえませんか?
⑦なめてるんじゃないの?
⑧勇太と過ごした三六五日
⑨一〇〇点差を超えるもの
⑩取り戻したい、生徒が主人公の入学式・卒業式を
⑪オレを捨てたべ
⑫表に出ろ!
⑬学校嫌いを乗り越えて
⑭八〇歳の修学旅行
⑮進級したかったです――少年院送致の生徒からの手紙
⑯ドタキャンするかも――小さな奇跡の顛末
⑰禁煙してる。えらいだろ
⑱リオさんの書いた五行詩
⑲悔しさと嬉しさと――裁判で得た「宝物」
あとがき