
“校長がかわれば学校がかわる”といわれて久しい。この「かわる」は、更迭されることか、自ら変わることかどちらだろう。多くの人は、更迭されることを考えているかと思う。だが、自らを変えようと努めることも指してないだろうか。それこそ大事と思っている人も、きっと多いだろうと思っていた。
そう思っていたとき、出合ったのが本書。学校改善に校長の果たす役割は重要だ。それを本書は3部にわけて論じる。第T部は、著者(東京大学教授・教育学)の“現代校長論”の展開。第U部は、それを読んでの8人の研究者や校長が述べる“現代校長論”だ。そして、第V部が、1980年代以降に展開されてきた“校長研究”のレビュー(評論、批評)となっている。これがまた、読者にいくつもの考える材料を提供する。
著者は、教育行政、教育経営、教育法学の研究者として知られる人。東大附属中・高校の校長も併任したから、学校の実際についても承知する面がある。著者は「あいまいな組織としての学校」を唱えているが、それを校外に理解してもらうこと、教師の相互支援的組織(同僚意識)をつくること、親の参加が不可欠であることにより、経営・管理していくことを考える。
それは、学校がいかなるものかを、実態的にも制度的にも、深く承知しているからであろう。法制度と現実との乖離、法制度のあいまいさ、学校の教育目的と評価のあいまいさなど、学校社会、教職生活の現実に、著者は視線を向ける。そして、その現実にたちつつ、学校の経営と管理を考えようとするのだ。
日々、学校の運営をどうするか思案するとき、トップダウンの体質が日本の教育界に強かったろう。しかし、ボトムアップで、学校をどうするか考えるときがきている。これは、一人ひとりの校長の課題だし、学校に勤務するすべての人の課題ともなっている。
学校改革、学校のあり方が問われている現今、書名から校長が読む本とだけ思わないことが大事。これからの学校経営に、一石を投じる本書だ。
(「日本教育新聞」1997年6月28日付)