『迷走する〈ディベート授業〉』

 斉藤規・今野日出晴/編著 A5判並製 定価(1200円+税)

 本書はディベートによる社会科授業の疑問を四点あげ、展開した授業論集である。

 本書の提示した疑問の第一は、授業とは教授と学習の関係で成立するが、ディベート授業では教授が軽んじられたり、否定される風潮がある。第二は、教育基本法に示された「真理と正義を希求する人間の育成」、「人格の完成」、「平和的な国家及び社会の形成者」の育成という目標がディベート授業では損なわれている。第三は、年間学習計画とそこにおけるディベート授業時数に偏りがある。第四は、生徒の事前学習が既成のメディアなどから与えられた情報のみになりがちである、など。以上の諸点を中心に強力な執筆陣がディベート授業にたいする持論を展開している。

 ディベート授業に関わる書籍は多くあるが、本書の視点では類書がない。今後のディベート授業論争の基軸になる論集であり、ディベート授業をこれから試みたい方や、すでに実施されている方にも必読の本であると思う。

(「学校図書館速報版」1998年12月1日号)