●「読売新聞」 1998年8月31日
高齢9女性にインタビュー 『老いは自分しだい』出版
「どんな老いを迎えればいいのか」――。そんな自らの問に答えを見つけようと兵庫県宝塚市の主婦が、今も現役で活躍中の73歳から98歳の著名な9人の女性にインタビュー。「老いは自分しだい」のタイトルで出版した。
奥田富子さん(58)。話を聞いたのは、デザイナーの小篠綾子さん、地唄の人間国宝の菊原初子さん、随筆家の岡部伊都子さん、「世良美術館」を作った世良臣絵さんらいずれも関西在住者。
菊原初子さんは谷崎潤一郎の小説「春琴抄」のモデルと言われる人。今でも現役でいられるわけを「芸一筋に生きていることでんな。お薬飲まへんしな。食べ物で病気を治します」ときれいな浪速言葉で語っている。また、デザイナーのコシノジュンコ、ヒロコ、ミチコ3姉妹の母親としても知られる小篠さんは、若さの秘訣について、「いつ人に見られているってこと、人を指導していかんならんという気持ちを持つこと。責任を負うこと」と明かすなど、それぞれ含蓄ある言葉がつづられている。
取材を通して得た美しく老いる条件として、奥田さんは「謙虚さ」「努力」「柔軟な心」「ユーモア」「マイナスをプラスに変える」「既成概念に挑戦」の七つを上げている。
奥田さんは、会社員の夫の転勤に伴い2度渡来。ニューヨーク大学の大学院で文学を学び、修士の学位を取った。大学院で、中年の女性が、働きながら生き生きと勉強している姿に感銘。大学院終了後に聴講生として行ったカレッジでも多くの高齢の女性たちが学んでいることに心打たれ、「こうした女性たちの生き方を探ろう」と思い、55歳から95歳の50人の女性にインタビュー。そのうち20人の話を「老いはあなたしだい」の題で6年前に刊行した。今回はその日本編。
自宅で英語を教えている奥田さん。「なんの肩書きもない素人が取材を申し込んで会ってくれるだろうか」と不安だったが、ほとんどの人に断れることなく、「立派な人はお金や権威で動くのではないのだな」と感じたという。「先輩女性たちの生き方から学びつつ、これからも身近からテーマを見つけ書くという仕事を続けていきたい」と話している。