情報伝達はカードに託す

● 忙しさの原因の一つは、複雑な医療費請求
病院で請求される医療費。この算出方法はなかなか複雑で奧が深い。その分、手間もかかる。
 医療費の算出方法はすべてポイント制。行った医療行為ごとにポイントが決まっていて、それに諸方薬分を加えた合計ポイントが全体の請求金額に置き換えられる。“1ポイント=何円”というのは厚生省の医療費公定価格で、病院の位置づけなどによって微妙に異なってくる。
 また、患者がサラリーマン(被保険者)なら、算出された合計金額のうち患者負担は2割。あとの8割は健康保険組合への請求となる。つまり、窓口で請求できるのは実際にかかった医療費の2割分のみ。これが被扶養者の場合だとまた違う。
 いずれにしろ、こうした医療費の算出は七面倒くさい。多くの病院ではコンピュータ(以下PC)を導入してシステム化しているが、医療行為や薬剤の一つ一つを分別してPC入力するのは、結局、“人の手”によるものに変わりはない。

● 忙しいと、つい指示もれ
 とみお診療所でこの役目をするのが、事務リーダー。リーダーは、患者のカルテを見ながら、どんな診療や検査を行ったか、その際に使った薬剤や医療品、その数量などをPCに入力する。そして、はじき出された明細書(兼領収書)をもとに窓口で会計する。
 と同時に、カルテを見ながら、ドクターから患者への注意事項や薬の説明、次回の予約などもしなければならない。患者数の多い時などは、とても一人ではこなしきれない。
 その時は他の事務担当者(以下、事務)がカバーに入る。リーダーがPC入力をしている場合、事務には窓口対応をお願いする。事務はリーダーが算出した明細書を見ながら会計し、薬局で処方した薬を渡す。特にリーダーから指示があった時だけ注意事項を伝え、次回の予約をとる。
 この時の指示は口頭によるもの。ついウッカリ指示がもれると、事務の方ではカルテ情報がないから、予約の必要や患者さんへの伝達事項の有無はわからない。そうすると、あとから、「あの患者さんの予約は必ずとって欲しかったのに」
 などということになり、フォローも必要になってきた。忙しさとはこんなところからもきていた。
 
● 伝言カードで定型化
 そこで、リーダーは、カルテ情報をPC入力する際、事務への指示をメモにして渡すようにした。こうすれば、確実に指示は伝わる。
 でも、繁忙期などは入力に追われ、いちいちメモしている時間もない。指示出しのたび、同じことを書くのも時間のムダだった。
 そこで考えたのが、メモの代わりにカードを利用するという方法。患者さんへの伝達事項は、
・ 健康保険証の提示依頼
・ 予約の督促・確認
・ 書類の提出依頼
・ 処方薬の説明や諸注意
・ ドクターからの注意事項
 など、限られているから、それらの伝達事項を“キーワード”化して、予めカードにしてしまおうというもの。
 例えば、『保険証』なら「次回、保険証を提示してもらうよう伝えて」というように、伝達事項をカードにして定型化してしまえば、リーダーは、いちいちメモを書かずとも、そのカードを事務に渡すだけでよい。事務も、そのカードを見ただけでリーダーの指示内容がわかるという訳である。

● カード使用で情報も可動化 
 カードの威力はそれだけではない。カードの移動は、つまり、それに伴う情報の移動である。情報は、ドクターからナースへ、薬局薬剤師を経てリーダーへ、更に事務を経て患者さんへと流れていく。各々は、多くの情報の中から、それぞれの処理に必要な情報だけをピックアップしていけばいい。
 ドクターからリーダーまでの流れの中で、その媒体となるのはカルテであった。しかし、リーダー以降はすべてが口頭で行われていたので、情報の引き継ぎ時には必ず、連絡・説明という伝達動作が必要となっていた。
 そこで伝言カードという媒体を作り、一連の業務フローの中での指示、連絡を伝言カードに託した。
 これで、そのつど発生していた伝達動作が要らなくなり、余計にかかっていた時間も短縮した。口頭での伝達に生じがちな伝達モレも殆ど生じなくなった。
(平和会・とみお診療所)